(法定)成年後見制度
が、2026年内の民法改正に合わせて、抜本的な見直しが進められています。
改正の目的は、制度の利用率が低迷している現状を改善するためといわれていて、その原因と考えられる「使いにくさ」の解消です。
これまでの制度は、
「一度始めたら一生涯やめられない」
「本人の自由が制限される」
「本人の財産の横領事件が度々起こる」
などという問題点が指摘されていましたし、国連の人権委員会?から「差別的な制度」として批判されたこともありましたので、本当に改善されるのであれば、良いことだと思います。
今回、検討されている主要な改正ポイントは次の3点です。(まだ最終決定された訳ではありませんが)
【改正のポイント】
@必要な時に、必要な期間だけ利用できる
一度を利用すると本人が亡くなるまでやめられないという「終身制」の原則を改め、必要な時だけ、必要な期間だけ利用できるようになると言われています。
たとえば「遺産分割協議のためだけ」とか「不動産の売却手続き」だけ、といったスポット的で個別の事情に応じた利用が可能になる見込みです。
A後見人の交代ができる
本人のニーズや状況の変化に応じて、後見人を交代できる仕組みが導入されます。
B「補助」だけに一本化される
現行の「後見・保佐・補助」の3つの区分を廃止して「補助」する役割だけに一本化されます。
概要はこんな感じです。けっこう実利的で利便性に優れた制度に変更になりそうな感じです。
【疑問が残る点】
※あくまで私見です
@利用期間終了後は、誰が本人を守る?
利用目的が終了した後は、認知機能が低下した本人は誰が守るのでしょうか?
悪徳商法被害や、親族・身近な者によって財産の横領がおきない様に誰が監視するの?など、想定外、突発的な問題が発生した場合にはどうなるのでしょうか?
A専門職のなり手不足が加速する?
現在、後見人を担っている専門職(弁護士等)が「割に合わない」「業務として成立しない」として受任を断るケースの増加が心配です。まあ、弁護士等の法律専門職もしょせんは「商売」ですからねぇ。
また現状でも、深刻な後見人不足の状態が問題となっていますが、さらに「後見人離れ」が進行してしまう事にならないのでしょうか?
B利用費用がより高額になる?
成年後見人の管轄は家庭裁判所です。
家庭裁判所への申立てには、医師による鑑定や診断書が必要です。鑑定料の相場は本人の状況に応じて、数万円〜数十万円が必要です。
現状では、申立の鑑定は生涯に1度行うだけですが、スポット的な利用をするならば、利用の都度、鑑定や診断書が必要となってしまうかも知れません。
その他に、専門職に申立を依頼した場合には、実費を除いて10万円〜の費用が必要です。申立後の一番目の業務として、
本人の資産調査や生活状況を把握して裁判所へ報告するという(面倒くさい)仕事が必要ですが、それも利用の都度必要となると、専門職に支払う手数料の相場が爆上がり!…するかも?
C制度からの取りこぼしが増加する?
これはあまり語られないことですが……
実際には、成年後見人の支援を受けられるのは「財産的に恵まれた人」だけです。
年金やわずかな預貯金しか持たない人は「誰の支援も受けられない」のが現実となっています。
役所やその出先機関でたらい回しにされた末に、運が良い人は、地域の社会福祉協議会の「法人後見」等の利用者となれる…かも知れませんが、残念ながら支援を受けられずに取りこぼされる人も多いのが現実です。
【まとめ】
「歳をとったら、老人ホームにでも入るさ〜」
などと言える時代は、とっくに終わっています。
高齢者対策は
『家族信託』
が一番!とお勧めしている者としては、もともと(法定)成年後見制度には批判的な立場ではありますが、今回の制度改正には非常に関心と疑問があります。
「利用費用の高騰」と「専門職の受任辞退」がどうなるのかも懸念されますし、実際に制度の運用を担う「現場の混乱」が一番心配です。
さて、いったいどうなる?どう変わる?
乞うご期待!ですね。